手術看護師として働く場合のみなさんのイメージはどういったものでしょうか?病棟や外来とは違って閉鎖的な空間。病棟看護とは全く違う看護。異動したくない部署ナンバーワン。そんなイメージがあると思います。そんなイメージを払拭するような、手術看護師ってこんなこと考えていたんだ!!と感心してもらえるような様々な工夫やコツを紹介していきます。
手術看護師として手術を円滑におこなうコツ・工夫
手術看護師って普段はどんなことを考えながら仕事をしているのだろう?なんて思っていませんか?
私も病棟看護師として病棟で勤務をしていた頃はそう考えていました。
8年前に手術室に異動したことをきっかけに、手術室で働き始めました。そこで様々な工夫やコツがあることを学び、日々の成長につなげています。
そんな日々の工夫やコツを皆さんにお伝え出来たらなと考えています。
手術看護師(オペ看護師とは!?)
まず、手術看護師とは、器械を執刀医に手渡しする「器械出し看護師」と、円滑に手術が行えるよう気配りする「外回り看護師」の2つの役割を1チームとして手術を担当しています。
これはどんな大きな手術でも小さな手術でも同じです。2つの役割が力を合わせて手術進行や手術中の様々な事態に対応していくこととなります。
そんな手術看護師の、手術を円滑に行う工夫やコツを紹介していきます。
手術の理解
手術を円滑に行うにあたって、手術に対しての理解を深めることはかなり重要なことです。
「あら、そんな当たり前のことを今さら言うの?」とお思いの方もおられると思います。しかしこれがかなり重要なことなのです。
手術というのはルールのようなものが存在します。
- この病気でこの進行度の場合は、ここからここまで摘出しなさい。
- こんなふうに開腹してこういうふうに手術をすすめていけば、病巣に到達しますよ。
といったルールです。
それを基にして、患者様の全身状態などを照らし合わせ、その患者様に合った手術を計画し行うこととなります。この手術計画は執刀医が中心となって計画します。
手術を理解していなければ手術の準備も出来ていないことになります。執刀医が使用したかった器械が準備されておらず、欲しい器械の名前をコールするたびに器材庫に取りに走る。といった状況では手術の遅延が生じてしまい患者様のためになっていないのです。また、執刀医のイライラも生じてしまい、円滑な手術進行どころではなくなってしまいます。
このような状況にならないようにするためには、手術の理解がかなり大事なことなのです。
そのために私たち手術看護師は「手技書」なるものを作成し手術の進行に合わせた必要な器械や技術を記しています。
これ用いて手術に臨み、手術を円滑に進行できるようにしています。
手術に対してのリスクの把握
リスク管理をしっかり行うことが、手術を円滑に行う工夫・コツの大部分を占めていると考えています。
患者様は手術を受けるにあたり、様々な手術に対して障害となるもの(=手術リスク)をもっています。
この手術リスクを把握しきることが、手術を円滑に進めることが出来るかどうかだといっても過言ではありません。
手術中は様々なハプニングが起こることがあります。このハプニングの原因が、手術リスクから生じているのです。
このトラブルやハプニングが患者様にとって致命的なトラブルにならないようにするためには、リスクをしっかりと把握し、その兆候を見逃さない観察力が必要となってきます。これをリスク管理とよんでいます。
このリスク管理こそが手術看護師の醍醐味だと考えています。手術毎のリスクをアセスメントして事前に準備し、何かあれば対処する。「手術看護師の看護」といえる行動だと思います。
患者様との信頼関係の構築
手術看護師は患者様本人と日々顔を合わせているわけではありません。少ないときは、手術前に1回、手術室入室時に1回、手術後に1回の計3回しか会わない。ということもありえます。深い絆をもって手術看護を行えるわけではないのです。
「それなのに信頼関係の構築とはどういうことだ」と疑問に思われるかもしれません。
しかし信頼関係がないままの手術では、患者様の協力が思ったように得られなくなり、円滑な手術進行が行えない場合もあります。
なので、患者様との信頼関係というのはものすごく大事だと思います。
患者様と手術看護師は顔を合わせる機会が少ないなかで、信頼関係を築かなければならないので難しくはありますが、そこがコツなのです。
患者様は手術を受けるにあたり、今までにない不安を感じている状況です。これは、初めて手術を行う方はもちろん、何度も手術を受けている方も同じです。
手術を受けて無事に帰ってこれるだろうか。病気はこれで治るのだろうか。元気な自分に戻れるだろうか。様々な不安を生じているはずです。
私たち手術看護師は、術前に患者様のベッドサイドまで訪問し、(術前訪問といいます)この不安に共感することがコツです。
不安を和らげよう。とか、不安を少しでもなくそう。と考えても、手術看護師の短い訪問時間でどうこう出来る浅い悩みや不安ではないのです。
それよりは、この不安に自分が寄り添って手術を行いますよ。というスタンスで術前訪問を行うことが、患者様にとっては力強く感じ、頑張ろうという気持ちになれるのではないかなと思います。この手法は私もよく使っていますが、患者様みな手術室入室時には笑顔で入室してくださることが多いと感じています。
以上3点が手術室看護師として手術を円滑にすすめるコツです。
といいたいところですが、もう1つ、さらに大事なことがあります。
様々なコツや工夫を散りばめて看護を行っても、手術チーム全員が同じ目標に向かっていなければ意味がありません。チームで問題点やリスク、看護を共有することで、皆で同じ目標をもって手術に臨むことができます。
これが最大にしてとても大事なコツといえることができます。
まとめ
手術室看護師のコツはどうだったでしょうか?
個々の技術の向上も大切ではありますが、手術を担当する全ての医療従事者のチームワークが大切だ。ということが分かっていただけたでしょうか?
そのチームワークがよりよい手術を進行させるものであると同時に、患者様にとって安全安楽な手術の提供を行うことが出来ます。
チーム医療こそ最高の医療!!
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