看護師新人の皆さん、採血に手がが震えていませんでしたか?私は自分がそのつもりはないのにいつもガタガタ震えていました。「落ち着け、落ち着け。」と思ってもなかなか思うようにはいきません。そんな私が採血が大好きになったコツをお伝えします。
採血が大嫌いだったころ
新卒で就職したのは、内分泌内科のある病棟でした。本当に毎日採血が多く、1日血糖などの検査で2時間ごとに20本ずつなどしょっちゅうでした。 翼状針で採血をするのは邪道でした。どの看護師さんも直針でやるのが普通で、当たり前のように私も直針で採血する技術を求められました。 私は採血が苦手でした。周りのベテラン看護師さんはサクサクとためらいもなく採血しているのに、何故私はこんなに緊張するのだろう…?まずそれが疑問でした。
採血にはコツがある?!
そんな中、ベテラン看護師さんが失敗しないでサクサク採血できるにはコツがあるとわかりました。そのコツがなんだろうと密かに観察を始めました。
コツ1. まず私はできる!と暗示をかける
失敗するかも!?と悲しい気持ちになるのはみんな同じです。でも失敗のイメージを抱くよりも嘘でもいいので、「はい、私はできる?」と気持ちを高めましょう。だいたい失敗しなくなります。
コツ2. 血管の硬さ、弾力、長さ、太さ、深さを指で読む
1番大切なのはここです。血管の硬さ、弾力は重要です。 よく採血をしている患者さんは血管が硬くなっていたり弾力が鈍くなっている場合があります。そんな時は、硬くない部位を指で探ります。硬くなっている部位は刺入時に皮膚を切りにくく、患者さんも痛みを伴いやすいです。 長さも大事です。プクッと浮き上がっている部位が短い場合、針先を血管に押し進めるのは危険です。 その場合は、短めの刺入で絶対に針が動かないように固定しましょう。 また、太さや深さはもっと大事です。 はかないくらい細く浅い血管に男気を出して「ええい!」なんてしてしまうと絶対に採れません。まずどのくらい浅いのか、指で何度も確認しましょう、何ミリなら角度をつけてよいかそのあと、何ミリで針を寝かせればいいのか、指がおしえてくれます。
コツ3. 患者さんの緊張をほぐすと同時に自分も肩の力を抜く
血管が読めたら、あとはリラックスです。「今日はさむいですね」とか「服素敵ですね」なんてたわいのない話をしながら、自分が笑顔になれるように心がけてください。笑顔になっている自分を自分で確認するとなんだかホッとして、自分はベテランだ!余裕があるぞ。と勘違いでもそのように認識しはじめます。
コツ4. 駆血帯を締め、優しく血管にそって腕を撫でる
あとは、患者さんの血管を愛おしみましょう。「頑張ってね、血管。少しの間私との共同作業だよ」と腕を撫でながら、血管に敬意をむけます。
コツ5. 素早く針をセットし、針先を患者さんのに見えにくいようにしながら、ココ!と決めた場所に迷わず鋭角に針を刺入させる
次に、自分を信じるしかありません。自分の分析した結果を全力で行動に移します。この時、迷いはいりません。 瞬きせず行きましょう。
コツ6. 刺入されたら即座に針を寝かせ血管の走行に従って針を進める
入った感覚がわかればもう間違いはありません。そこで針を寝かせます。
コツ7. 針を持ち変え、左手の人差し指と親指で針を持ち、中指と薬指、小指で腕と針を固定し、針先が絶対に動かないように気合いを入れる
ここも重要です。採血は刺入と固定だと思います。 よくやる失敗が入ったと思った瞬間、気が大きくなって、さらに「えい!これでどうだ!」と言わんばかりにプロさをひけらかすことです。だいたい血管を貫通してプクッと腫れます。ひどい時はどんどん真っ黒になります。 固定をしているつもりでも、気が動転し始めると、固定した左手がどんどん進みはじめたり、逆にどんどん抜けはじめたりします。すると既にきちんと入って採血されていた場所がずれはじめ、突然逆血しなくなることがあります。 そんな時のために、中指と薬指、小指が必要なのです。出来るだけ腕に密着させた針をさらに動かないように固定するために食指を伸ばしたクラゲのように、患者さんの腕に根を張ります。だいたいこれで私は固定が完璧です。
何度も失敗しよう!?
それでもやっぱり失敗してしまう。採血が怖い。そんな時はベテラン看護師がはなしてくれました。
その言葉で、新人だった私の覚悟は決まりました。何があっても前に進もう!と思いました。
成功体験を繰り返した今
正直、今私は採血が大好きです。失敗はもちろんあります。けれど苦労して乗り越えた壁は私にとって大きな財産になりました。今では採血だけのバイトも喜んでするようになりました。
- 「看護師さん、採血上手だね」
- 「痛くなかったよ!どうやるの?」
なんて患者さんから言われるとますます自己肯定感が上がります。だいたい5人に一人くらい言ってくれます。それがさらに原動力になり、「わたしは採血が上手い」「わたしは採血をだいたい失敗しない」という暗示がかかります。 患者さんからの反応や言葉は何よりのご褒美だと思っています。 けれど…
- 「こんなに痛い採血は生まれてはじめてよ!」
- 「ちかーとした!痺れてきた!」
なんて言われることもあります。そんな時は、落ち着こう、患者さんの気持ちになって患者さんを愛おしもう、と初心に戻ります。すると自然に「申し訳ありません」と心から謝れるのです。 「申し訳ありません」も大切です。 素直に余ることで、患者さんの不快指数や怒りも実はスーと落ち着き、次の処置もこじれにくくなります。
まとめ
いかがでしたか?採血が大嫌いだったわたしが、大好きになれた振り幅は大きいです。失敗は成功のもと。大好きと大嫌いは紙一重…。わたしの体験談です。 失敗は当たり前、失敗しないとベテランにはなりません。繰り返して回数をこなすこと、成功体験を意識し増やすこと。それから異常な緊張をしないようにすること。平常心が大切だと知ること。これって実は全てに通じることではありませんか? みなさんのこれからを応援しています。
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