救急看護でのアセスメントを効率よく行う方法とは!?

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#712 2019/05/25UP
救急看護でのアセスメントを効率よく行う方法とは!?
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たった1つの病名に対してでも、看護師のもつ視点やアセスメント次第で、患者やその家族の人生は大きく左右されるほど、看護師のアセスメントは重要なものであり、
看護師一人一人は、それを自覚したうえで看護ケアを実践しなければいけないと思います。
実際の救急現場で行なったアセスメントの事例をご紹介します。
  

救急現場でのアセスメントのコツ

私は二次救急病院で常勤病棟看護師として、日勤と夜勤をてんやわんやしながら仕事をしています。

私の所属する病棟は、内科の患者さんがメインになるのですが、入院患者の多くが70代以上の高齢者で、とくに多かったのが誤嚥性肺炎の病名でした。入院後、肺炎治療を施し、軽快する患者さんとそうでない患者さんがいるわけですが、軽快したからといってすべてが良しといくわけではありませんでした。

それは、長引く入院生活による認知症悪化や、救急病棟の看護、介護ケアの不十分さが原因で、食事を経口摂取することが難しくなるケースがあとを絶たず、患者さん自身が自宅や自宅に代わるもと生活していた施設等へ戻れなくなってしまう事態が起こっているということでした。

そこで、私は病棟看護師として働くなかで、まずは病院でリーダーとなり、当時病院でまだ始まっていなかったNSTの立ち上げ役となりました。

なぜ、それまで病院内で立ち上げの話がなかったNST に私が目をつけたかというと、看護師として働くさいに、当たり前に誤嚥リスク予防や嚥下機能低下を予防することを意識して口腔ケアに力を入れるわけですが、これと同じように大切と考えたのがNST だと気が付いたからです。

誤嚥性肺炎の患者さんと接していると

  • 病院の食事が美味しくない
  • 形がないから食欲が湧かない
  • 看護師や介護の人がお盆を置いたまま介助してくれない

など、患者さん自身だけどなく、その家族からこの様なこえが挙がっていたことがわかりました。

患者さんから直接このような声が挙がっていても、中々ケアに結びつけられていなかった点に注目し、

  1. 患者のさんの食事の介助時間の十分な確保
  2. 患者さんの嚥下機能に見合った食事に形態の見直し

を第一のアセスメント課題とし、医師や我々看護師はもちろん、管理栄養士など多くの専門職を交えてカンファレンスを積極的に行うようになりました。

それらを半年間、一年間、二年間と一定の期間を数えて、誤嚥性肺炎の患者さんの経口摂取回復率などの統計をとり、NST 実施前後で明らかに変わった点を確認していきました。実際に、誤嚥性肺炎での入院患者で、自宅または入所元である施設へ退院できた患者数は増加しました。これは単純に、アセスメントに基づいてケアを実践した結果、自宅退院に患者さんが増加しました、という話ではなく、以下の二点においても大きな利点となっていました。

アセスメント提案によって不満不備の減少につながる

ひとつは、誤嚥性肺炎で入院中の患者さんやその家族から、仮にNST 介入ケースでありながらも、結果的に経口摂取ができなくなってしまったという場合でも、以前よりも病院側に対するクレームや意志疎通などの不備、不都合の訴えの件数が減少したのです。これは、おそらく患者さんがや家族が希望するゴールに達することはできなくても、病院側が患者さんのために努力をしたということが、患者さんやその家族に認められている部分もあると考えました。

在院日数の短縮につながる

ふたつめは、二次救急病院は平均在院日数をある程度制限して運営しなければならないため、自宅退院や入所元へ戻れることは、患者さんだけでなく、平均在勤在院日数の短縮につながるため、我々病院側にもメリットになるのです。

たった一つの誤嚥性肺炎という病名にたいして、患者のケアのアセスメントを見直すだけで、病院側にも患者さんやその家族にも大きなメリットがあります。そのため、新人の看護師でもベテランの看護師でも、今の看護ケアに疑問をもつことの大切さ、時代によって変化する患者さんやその家族のニーズを的確に把握し、それに応えていくことがとても重要です。

そして、私がこれらのアセスメントを行う1番のきっかけになったのが、誤嚥性肺炎の患者さんからの「ご飯が食べたい」という一言だったのです。

ここでも、誤嚥性肺炎患者さんは、身体的な部分と心理的な部分での解離かあることがわかりました。お腹はすいて、ご飯を食べたいという食思の部分と、だけれども食べてしまうと誤嚥を繰り返して命に危険を及ぼしてしまうかもしれないという部分で、私は本当にジレンマを感じていました。

私達看護師は、どうしても日常の多忙な業務に追われてしまい、中々患者さんへの本質的なケアができていない、というのが本音であり、そういった現場は少なくないのではないでしょうか。しかし、患者さんやその家族からみれば、我々が救急病院であろうと、どれだけ多忙であろうと、それは関係ないわけです。言い訳とまでは言えませんが、病院側の都合は通用しません。

私は今、自分自身がどうして看護師になりたくてなったのか、看護師になったらどういう看護師になりたかったのかを思い出します。

看護師になって丸10年、まだまだ先は長いですが、この職業は常に学びを必要としますし、患者さんやその家族の気持ちに寄り添えるための、看護師自身の心の余裕も必要です。患者アセスメントの必要性や重要性は、年々高まっています。

初心忘れるべからずで、アセスメントの際はどんなに知識や技術があっても、そのときだけは初心になって患者さんに接するべきだと思います。

経験や技術は、ときにベテラン看護師の色眼鏡になってしまっている場合があります。一旦その色眼鏡を外すことができるかどうかは、その後の患者ケアの質を大きく左右することを、看護師は肝に命じて働かなければいけないと想います。

本当に当たり前のことですが、自分の親や身内が入院したと思って、物事を捉えるべきであり、絶対に患者さんを「もの」として見ることは許されないのです。そういった現場が有る限り、上記のようなアセスメントや気付きは絶対に実現されないでしょう。

まとめ

患者さんや家族も一人の「人間」です。看護師にとっては、多くの入院患者の中の一人という認識を持ってしまいがちですが、そうした視点では本当のアセスメントはできません。多くの看護師は、もう一度アセスメント技術云々の前に、看護ケアの本質を見直すべきだと思います。それができて初めてアセスメントを行い、質の高い看護を患者さんへ還元できるのです。

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