注射はナースの中でも得意不得意が極端に分かれる分野かと思います。初めての時は誰でも緊張するものです。私も苦手でしたし、今でもちょっと苦手意識はあります。どのようにして克服したのかをお伝えしたいと思います。
注射をする際のコツと方法
注射と言っても筋肉注射、皮下注射、静脈注射など様々な種類があります。採血も手技的には注射とほぼ一緒です。
ウン10年年前、私が学生だった頃は学生同士で同意書を取り合ってお互いの腕を貸し合ったものです。だいぶ前から看護学生さんは、在学中に採血や注射の学生同士にうち合うことはしなくなりました。
実習で来られた学生さんに聞いてみると、ゴムで出来た血管の入った模型相手にひたすら練習をされてるとのことです。
その理由はよく分からないのですが、現代においてはおそらくコンプライアンス上のことなのだと思います。
実際に入職してから、訳の分からない研修を受けて、初めて患者さんにやるのが初採血、初注射というのは恐ろしすぎると思います。
まずは一番最初にするであろう採血について、私の学んだコツを伝授いたします。
シミレーションをしっかり行う
コツとしてはまず第1にシミュレーションをしっかりしておくことです。イメージトレーニングと言い換えてもいいかと思います。今はYouTubeやeラーニングなどで、わかりやすいレクチャー動画が沢山ありますので、それらを見て事前にシミュレーションをしておきましょう。
物品の用意をしっかりとする
次に物品の用意をひとつ残らず完璧にしておくことです。
バットの中に駆血帯やシリンジ、分注器など必要となる物品を一つ残らず漏れなく準備しておきます。ベッドサイドに行って始まってからあれがない、これがないとなると、慌ててしまって取れるはずだった血管からも取れなくなります。患者さんにも苦痛や負担を教えることになってしまいます。
若くて健康な患者さんであれば、正中の血管からならば必ず取れると思います。しかし、患者さん達の中はおおくがご高齢で、皮膚や血管が脆く、ボロボロの方が多いのも事実です。
この場もやはり入念に別の準備が必要です。物品の準備の他に、患者さんの血管をしっかりと探すことに時間をかけましょう。ホットパックや蒸しタオルをたくさん準備して、30分以上はしっかりあたためます。
また、血管内ボリュームを膨らませるために温かい水分をゆっくりと落ち着いてとっていただくこともよろしいかと思います。
あまりガチガチに緊張した状態で臨むと、患者さんにもその緊張と興奮が伝わってしまって、末梢の血管が締まってしまうということがあります。
採血の上手な私の先輩は、患者さんとお天気の話などをしながら、のんびりとした雰囲気の中であっという間に針を刺していました。
ポジティブな発想と考えを持つ
こちらが弱気でいると、案外うまくいかないものです。
私はよく先輩に「とる!という、気概を持って患者の元へ向かえ!」と言われました。
あなたにも、苦手意識があるかもしれませんが、気持ちの上では負けずに、絶対採血取るぞ!という気合いを持っていくことです。
意外に思われるかもしれませんまが、これは結構大事なことです。
注射の種類によって場合分けを!
次に注射です。
採血にだんだん慣れてくれば皮下注射、筋肉注射は角度と、お肉を摘むことをしっかり意識すればそんなに怖くはありません。
ただし、子供と大人とでは走ってる神経の走行が少し違うので、注射の部位が異なります。筋肉注射は神経損傷やしびれなどの障害を残す可能性がありますので、特に気をつけてください。
皮内注射は代表的なのはツベルクリン注射です。しかし抗生物質の皮内反応をしなくなった今では昔ほどされなくはなってきている印象があります。
しかし、注射の目的をよくわかっていないと、時にはとんでもない事故がおこってしまうこともあります。私の同僚は対象液すべて皮内に1ccいれてしまって患者さんの前腕を真っ赤に腫らしてしまいました。
初めての注射でそんなことが起こってしまうのは同僚だけの責任ではないとは思います。
新人をきちんと病棟で育てることは病棟の義務ですので、スタッフの責任でもあります。監督責任が重く問われる事態ではあると思いますが、初めての手技は注射に限らず、1人ぼっちでは絶対に行わないようにましょう。
事前に基準手順を読み込んでおくことも当然しておくべきことです。
ある程度仕事が回せるようになってくると、数年するとたいていの病院ではIVナースというものを院内の規定で取らせるように、最近はなってきてると思います。
点滴の差し替えの度に医者を呼ばなきゃいけないのは、双方どちらにとってもストレスだと思います。
忙しい夜勤の最中など、患者さんの点滴が漏れてしまった時は、看護師が先生及ぶのも申し訳ないなぁと思うこともあります。自分で点滴を入れられるもんなら入れてしまいたいなぁと思う局面に遭遇することも、これからはきっと出てくることだと思います。
静脈の留意も同じ手順で!
静脈の留置も基本は採血と準備は一緒です。留置するからには数日はもたせたいので、きちんと血管の走行を丹念に見繕っておく必要があります。
慣れないうちはこれだと思った一番取りやすそうな太くてしっかりとした血管をにアタックするのが良いかと思います。
ただ、点滴を長期留置しなきゃいけない高齢者の患者さんの場合は、いい血管は最初から潰してしまうのではなくなるべく最後までとっておくのがよろしいかと思います。
とりたい血管の腕もしくは足、全体をしっかりと温めておき、穿刺の時には心臓よりも下に穿刺部位をポジショニングしておくことがポイントだと思います。
極端な話でもなんでもなく、ここまでの準備ができていれば、8割以上の成功は確約できると思います。
注射をする際の最大のコツは深追いはしない
非常に大事なコツは、決して無理して深追いはしないことです。
どうしても穿刺後、逆血が来ないと血管を探してグリグリクリクリ動かしたくなるものですが、これは患者さんにとって苦痛以外の何者でもありません。
2回チャレンジして駄目だったら、真摯に患者さんに謝罪し、先輩に交代してもらいましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
技術的なところは回数をこなせば必ず上達はしていきます。
しかし、いつまでも苦手意識を持っているとなかなか上手くはいかないものです。
そもそも矛盾するようではありますが、採血も留置も誰がしても取れるときは取れるし、取れない時は取れません。
同じ血管でも人を変えれば取れるということはよく聞く話であります。
自分の手技が上達すればもちろん成功率は高くなりますが、患者さんとの相互作用の中で処置の成功率がより高まります。緊張させない雰囲気づくりを心がけ、温かな看護師さんになってくださいね。
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