いつの時代もどの世界でも、就職を志す人にとって避けては通れないのが面接。就職先によって応対頂く面接官は変わりますし注意点も変わってきます。総合病院、介護施設、クリニックでの就業経験があり、それぞれの特徴を踏まえ、新卒の看護師、既卒で転職を考える看護師に向けて、押さえておくべきポイントをご紹介します。
看護師の転職面接のコツ
前置きとして、看護師の面接もそれ以外の一般企業での就職面接も、最低限のマナーや基本的事項は同じですので、ここではあえて触れることはしません。
例えば「爪は切っておく」。医療従事者は患者を傷つけてはいけないので、ほとんどの医療者は爪を伸ばすことはしません。心得としてまずは身だしなみを整えて面接に臨むべきでしょう。お伝えするのは看護師ならではの内容です。私が経験してきたことも踏まえて挙げていきたいと思います。
総合病院での面接
まず総合病院は特に年度の切り替わりでは入職者を多く採用する傾向にあります。
その為面接は集団となることが多く、面接官複数人対就職希望者数人となることもしばしばです。中途採用の場合は別ですが、公立の総合病院となると、前年度の初旬や中旬に試験や面接を終える場所も多く存在します。その為、面接についてはそれに応じた工夫が必要となってくることが多いです。
まず集団面接と行っても、おおよそ3から7人が一般的でしょう。その中で、他との違いを見せることが一つキーポイントとなってくることは言うまでもありません。なので、可能であれば面接で聞かれる内容をあらかじめリサーチしておくことができればしておいた方が良いでしょう。
ただしリサーチしようと思っても、そうそう良い情報が得られることは稀かと思われます。その為、まずは一般的な面接で聞かれそうな点は最低限予想して、その回答を用意しておくべきかと思います。
- 「なぜこの病院を希望されたのですか?」
- 「どうして看護師を目指したのですか?」
などは基本でしょうから、答えられるように覚えておいた方が良いでしょう。
ただし、ありきたりなものであれば集団面接ではその集団の中に埋もれてしまうでしょうから、そこでお勧めしたいのは、面接官の印象に残る回答です。
一般的な企業の面接でのありふれた回答は
- 「貴社の理念やコンセプトに惹かれて」
- 「貴社の商品である〇〇が好きで」
などが挙げられますが、これを病院に置き換えてみます。
すると、「貴院の理念やコンセプトに惹かれて」「貴院で入院した際にお世話になって」となってくるでしょう。
これも十分な回答かもしれませんが、ちょっと真面目な印象を持つ程度で終わってしまったり、他と被ることが想像できます。
特に被ることは避けたいので、まず一つは、被らない回答を考えつつ、なおかつ病院の売りや特色を必ず押さえておきましょう。
例えば「なぜ当院を選んだのか?」に対し、
- 貴院の特色である第三次救急でたくさんスキルを学んでエキスパートになりたいからです
- 貴院は全23診療科がございますので、たくさんの分野を学べてとても刺激的な毎日が送れると考えました
- 産科医療に興味があり、貴院の産科での勤務を希望しています。周産期医療を出産から小児医療まで関われるのはこの地域では貴院以外にはありません。絶対貴院で勤めたいと学生時代から思っていましたので希望致しました
など、病院の特色プラス自分のやりたいことを明確に伝える一句を用意しておくことで、他との差別化とインパクトを残せると思います。
また既卒の転職希望者は、経験者というだけでプラスに転じることも予想できます。その分、発言には新卒よりもひと回りふた回り質の高い言葉を期待されてしまうことも予測できる為、例えば、
今まで勤めていた病院にいても、貴院の評判は伝わって来ました。貴院の脳外科の手術件数は他を圧倒しています。私も手術看護に携わるものとして、憧れから転職を希望するのは当然です
など言えれば、納得頂けるかもしれません。
一方、面接官を考える上でも、総合病院ならではの点があります。
複数人であることが多い面接官のそれぞれの院内での役職が、院長(医師が多い)、事務長、看護局長(看護部長)、人事担当等です。
それぞれ一人ずつ、用意された質問事項を希望者に対して振っていきます。普通一般企業であれば、この中で一番の職権を握っているのが院長です。
しかし多くの総合病院では一般企業と少し異なります。
もちろん、院長や事務長、人事担当も発言力はあるでしょうが、看護師の人事に限っては、看護部が人事を握っていることが多いのです。
総合病院の職員は、看護師が全体の3割以上を占めることが多く、一番の大所帯です。そのため看護局長の発言力というのはまずまずの力を持ちます。何か変革を行いたいとき、看護局の承認を得る得ないでは大きく異なるのです。
その為、看護局長以外の印象が良くても、看護局長がノーといえば、看護師の人事に限っては、それがノーとなると言っても、過言ではないかもしれません。この点は気をつけておいた方が良いでしょう。つまり、それぞれの面接官に対し、看護師ならではの回答を考えてみて、看護局の力となり得る人材であることをアピールしてみるのも良いでしょう。
介護施設について
介護施設については面接官は、施設長や看護師長、サービス管理責任者などになることが多いです。
看護的な発言をしても、施設長やサービス管理責任者の元となる資格いかんによっては、理解してもらえないことも予想できるため、ある程度一般的な回答も用意しておくことも良いでしょう。
しかし、看護師として就業することを目的として面接を受けるのですから、あらかじめその施設が看護師に何を期待しているのか、看護師がどこまで施設利用者に対して介入するのか、リサーチしておく方が良いかと思います。私自身、介護施設に面接を受ける前には電話でアポイントを取り、見学をしつつ、見学を担当してださった方に、それとなしにヒアリングしておきました。
その上で面接に臨むことで話もスムーズにいきますし、就業した後に、イメージや期待と違うことを避けることができるかと思います。一方介護施設は即戦力を求めていることが多いことが予測できます。既卒ならではの転職したい希望を伝え、即戦力であることをアピールしてみると良いでしょう。
クリニックについて
クリニックはその規模によっても違うでしょうが、おおよそ院長と看護師長です。私も院長と看護師長でした。一部事務長がいれば含まれるでしょうが、クリニックは院長絶対の風潮がいまだに根強く残っているところが多く、総合病院と違い、看護師長がゴーと言っても、院長がストップといえばストップになることが多いと予想できます。
その為、院長よりの発言を、自分なりに考えてみた方が良いでしょう。
例えば、「理想とする看護は?」と聞かれた時に、「患者に喜んでもらいつつ、クリニックにまた来たいと思ってもらえるような看護です」など、院長は院長であることプラス、経営者になることが多い為、院長側に立つことが内定をもらえるポイントとなりやすいと思います。
まとめ
それぞれ就職を希望する先によって、面接担当者も変われば、先方が望む人材も変わって来ます。その為、何を求めているのかをまず考えて、それぞれの期待に応える回答を用意しておきましょう。また、集団面接の場合は他者と差別化を図れるような回答を用意しておきましょう。
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