訪問看護師は、病院で働く看護師と異なり、在宅で生活する利用者を支える看護師のことです。そのため通常病棟で働く看護師とは少し異なった素質が必要です。病棟看護師とは異なる訪問看護師に必要な3つの素質についてご紹介していきます。
訪問看護師向きな素質と不向きな素質とは!?
病棟看護師も訪問看護師も同じ看護師という資格を持ちながら働くのですが、病院内で働くことと、地域で働くことは大きな違いがあります。そんな地域で活躍する訪問看護師になる方法には、3つの素質が必要だと思います。その一つ一つをご紹介していきましょう。
アレルギーがないことが第一条件
病院でも訪問看護でも就職するときというのは、健康診断がありますね。そこで基本的な検査を行って、健康的に問題がないかをチェックします。
その健康診断と並行して、就職や転職の面接が行われますが、その際によく確認されること、そして私が実際に確認されたことのひとつが、アレルギーはないですか?ということでした。
これまで面接などで何か持病はありますか?健康面で心配なことはありますか?と聞かれることはありました。夜勤などを行う看護師の仕事なので、当然聞かれるべき質問だと思います。しかし、アレルギーはありますかと質問されることは初めてで、どうしてこの質問が?と思ってしまいましたね。
しかし、実際に訪問看護師になって、やっぱりアレルギーがあると仕事に支障があるかも・・・・と思うことがいくつかありました。
例えば、訪問先にはペットとして屋内、もしくは屋外に猫や犬がいるということもあります。私が経験したお宅では、屋内に5匹以上の犬を飼っていた犬も!そのためまず看護師がアレルギーであると、そのお宅に訪問することもできません。
さらに春には花粉症の時期になりますが、車で訪問先に移動する訪問看護師にとっては、外回りをするというのはとてもつらいこと。車の運転もあるため、眠気のあるアレルギーの薬を飲むこともできません。そのためとてもつらい思いをしなければいけないという看護師もいます。
さらに訪問する家が、必ずしもきれいな家ばかりというわけではありません。家族がいたり、独居でもヘルパーさんがはいっていれば、きれいに整頓されている場合もありますが、完全に独居で不自由な生活を送っている場合、ごみ屋敷に近い状態になっていることもあるのですね。
ダニやノミ、カビやほこりといったものもあるので、ある程度不衛生な環境にも耐えられる人でなければ、訪問看護師になることはできません。
人を認めてあげることのできる人
看護師という医療職なので、在宅に行ったときに、まずこれはできていない、こんなやり方ではだめだと医療職の視点から物事を見てしまうことが少なくありません。
しかしながら、訪問看護師というのは、医療的なサポートを行うと同時に、生活を支える人でもあるのですね。生活を支える場合には、その人のこれまでの生活歴を知ることが一番重要な方法です。そしてその人の生活を受け入れてあげることが大切です。
もしもその生活が健康的に支障をきたしていたら、この生活を変えたほうがいいのでは?と簡単に発想してしまいがち。しかし訪問看護で伺うお宅は、介護保険を利用し、高齢である方が比較的多いのです。そのため、これまで長年培ってきた生活歴を変えることは難しいのです。
また病気の治療のために本当は生活を少し変えたほうがいいことはわかっています。しかし、社会的、経済的にもそれを行うことが難しい場合もあるのですね。
例えば、糖尿病で生活保護を受けている人。独居であり糖尿病のコントロールが不良である利用者さんがいました。高齢で認知症があるため、自分で食事を管理することが難しいです。
歩行はできるのですが、遠くに行くことはできないので、やはり一番近くにあるコンビニで済ませてしまう。糖尿病でカロリー制限などがあることはさんざん指導されているが、やはり食材を目の前にすると、大好きな揚げ物や菓子パンに手が伸びてしまう。血糖測定や内服、インシュリン注射も適当なので、高血糖が続くこともあれば、時には低血糖になっているところを発見されることも。
このような人の生活をどのように改善することができるでしょうか。24時間誰かがいなければ生活を変えることはできませんね。私たち訪問看護師は、このような利用者の生活歴をまず詳しく知る。そして低血糖など命の危険がないようにまずかかわっていきます。そのために、訪問を短時間で複数回にする、ヘルパーさんと協力して訪問時間を調整するなどの対策を取ります。
大切なことは、まずその人の生活歴を知ること。その人自身を認めてあげるということが重要なのですね。
訪問看護師にとっては、「でも…」という言葉はあまり使わないで「そうなんですか…」とまず受容できるような声掛けができることが大切だと感じています。
報告、疑問を声に出せる素質を持とう
看護師の中には、プライドの高い人もいます。プライドの高さから、人に頼りたくないという人も。またここまでこのやり方で行ってきたのだから、このやり方が一番だと思って処置をする人もいます。しかし訪問看護師というのは、一人で訪問してサービスを提供して終わりというわけではありません。またそのやり方が、その利用者にあっているとも限らないのです。
もしも訪問したときに何かおかしいなと感じることもあるかもしれません。この状態がこの人にとって、いつあもの状態なのか?様子を見ていいのか判断に迷うこともあるかもしれません。
そのような時には、電話連絡をするなどして報告する必要があるかもしれません。また所長にアドバイスを求めることもあるかもしれません。
訪問看護師になるときには、ある程度これまでの経験に自信をもって飛び込んでいくことは重要です。しかしその能力を利用者に合わせて応用していくことも重要です。そのためには、これまで培ってきた技術にプライドを持つことも重要なのですが、それを柔和に応用する力も必要です。
さらにわからないことや疑問点があれば、それを声に出していくという素質も重要だと感じています。
まとめ
いかがでしたか?訪問看護師に興味があるけれど、なかなか思い切って飛び込んでいけないという人もいるかもしれませんね。まずは病棟看護師と訪問看護師の違いをしり、訪問看護師になるための素質を考えてみましょう。ここでは3つの素質をご紹介しましたが、転職を考えたときに、ぜひ参考にしてみてください。当てはまらなくても大丈夫。まずは現状を知ることが大切です。
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