訪問看護をするときに大変だなと思うことのひとつが、利用者の状況を見てアセスメントをすることです。この状況をどのように分析するか?一人で訪問する時にはその観察力、そしてアセスメント能力が必要とされます。潜在看護師や経験の浅い看護師の中でも訪問看護に興味を持っている人もいるかもしれません。そんな訪問看護師に求められるアセスメントについてご紹介していきたいと思います。
訪問看護師のアセスメント方法
私は訪問看護師になって約2年が経過しました。看護師として約15年の経験があり、出産を機に潜在看護師となりました。子どもが幼稚園に入るのをきっかけに訪問看護師として復職したのです。その時にさまざまな不安がありました。注射や採血はできるかなといった技術の問題もあります。また新しい薬がどんどん出てきているので、覚えられるかなといった知識的な不安もありました。さらに、訪問に行くときにはひとりで訪問するけれど、利用者の状態を観察し、きちんと対処できるのかな?ということも不安でした。
訪問看護師に必要なものは、観察力と読み取った情報を分析するアセスメント能力だといいます。しかしアセスメントに関しては誰もが不安を抱くところ。今回はそんな訪問看護師におけるアセスメントについてご紹介していきたいと思います。
訪問時間は意外に短い!
私は訪問看護師になるまで介護保険や医療保険についてあまり詳しくはありませんでした。そのためどのくらいの時間訪問するか?また訪問した時間によって、いくらの費用がかかるのかということは知りませんでした。
訪問看護の場合は、ほとんどの利用者は、30分未満か1時間未満の訪問になります。提供するケアは、それぞれの利用者によって異なります。状態観察だけという場合もありますが、1時間で保清や褥瘡処置など目いっぱい処置をしなければいけない場合もあります。訪問看護師として働き始めたときには限られた時間の中で、処置を行うだけで終了してしまうことが多かったのです。
しかし次第に慣れて、待機やなどをするようになると今度は緊急で呼ばれたときに訪問して、どのようにアセスメントして報告するかということが重要であると強く感じました。
事例を通してアセスメントの重要性を感じた
ある事例を通してアセスメントの重要性を感じたことがあります。
その方は家族と一緒に生活をしていましたが、自宅でふらついて柱に胸をぶつけたというのです。そして緊急の連絡で訪問をしました。バイタルサインは何の問題もありません。また意識レベルも問題ありませんでした。胸を打ち付けたということで肺音の聴取などもしましたが、問題ありません。打ち付けてから少し時間もたっていたため、痛みもそれほどではないということ。また強く打った時に出る内出血のようなものもありませんでした。
腕を動かしても特にいつもと変わった様子はなかったため、一日様子を見て問題あれば翌日病院を受診するように勧めました。
しかし私はその時肋骨が折れているなんて思ってもいなかったのです。
その利用者は、家族の都合もあり、二日後に受診をしました。そこで肋骨骨折が判明したのです。私はこの時に、自分のアセスメントがまだまだ甘かった、きちんと分析できていなかったと思いました。
高齢者の痛みというのは、比較的鈍いことがあります。ふらついて胸をぶつけたときにはとても痛かったでしょう。しかし時間がたてば軽減し、痛みに鈍い人は、それ以降あまり痛みを訴えない人もいるのです。時に臥床して過ごすことが多く、自分であまり行動しない人は、腕も動かさないので、痛みを感じる機会も少ないのかもしれません。
また認知症があると、痛みのことを忘れているのかもしれません。
しかし何らかの拍子に、再び痛みを訴えることがあるのですね。それが続いたことで今回は病院を受診。そして肋骨骨折が判明したのです。利用者の肋骨骨折は大事には至りませんでしたが、骨折が判明してからはバストバンドをまいて安静を図りました。以降痛みを訴えることもなくなりました。
私はこの事例を通して、利用者の言動、そしていつもと違うこと、ADLなどをよく観察してもう少しアセスメントするべきだったと思います。そうすればもう少し骨折のヒントが得られたかもしれません。
自分の判断に迷ったら?
訪問看護師として働き始めて、始めの3か月は、先輩看護師と一緒に行動を共にしました。そして訪問の基本と、それぞれの利用者の看護手順を学んだのです。独り立ちしてからは、不安を感じることも少なくありませんでした。こんなときにはどのようにしたらいいのか?またこの利用者にとって、この状態はよくある問題なのか?を読み取ることは難しかったですね。またいつもと違うと思っても、それをどのように分析し、アセスメントすればいいのかがわからない時がありました。
そんな時には、私は迷わず訪問看護ステーションの所長に報告、相談をしました。
所長は長く在宅の経験を積んだ人で、私はとても尊敬しています。また困ったときは、わかりやすく、そして的確に指導してくれるのでよく相談することもありました。
また訪問看護というのは、ステーションから車で約20分程度で行ける範囲の場所が多いのです。そのため時間があるときには、すぐに駆け付けてくれることも。そのように困ったときには、所長に相談しながら対処をすることによって、だんだんと経験を重ねることができるようになってきました。
おそらく訪問看護ステーションの環境も良かったのかもしれません。また相談できる医師も同病院内にいたことも安心して勤務できる理由のひとつでした。このように私は訪問看護師初心者から徐々に経験を積んで、約2年が経過します。まだまだアセスメントが足りないなと思うことはありますが、経験を積むことによって、だんだんと自分で判断し、ケアを提供。問題があるときには、医師に報告し、指示をもらうこともできるようになりました。
これから訪問看護師になりたい思っているけれど、自分の経験で大丈夫かなと思う人もたくさんいると思います。しかしながら、経験を積んでいくことで確実に成長できると思います。思い切って訪問看護の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
訪問看護師にとって限られた時間で利用者の状態を把握、アセスメントをしながら必要なケアを提供することは簡単なことではありません。しかしながら、経験を積んでいけば、確実に少しずつできるようになっていくことも確か。
もしも訪問看護に興味がある人は、勇気を出して訪問看護の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。
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