看護計画が苦手という看護師さん、結構な人数居ます。実はアセスメントがスムーズにできれば、その後の計画立案から実施まで本当にスムーズに時間をかけることなく、且つ患者さんの個別性に合った内容の看護計画を立案することができるんです。ここでは、看護計画のアセスメントで困った事について、事例を通してご紹介します。
看護計画の立案ってどうするの!?
看護計画って学校で習ったし、実習でも睡眠時間を削りながら鬼のような記録を書いてきたけれど、本当は苦手という看護師さんは多いものです。私もその中の一人でした。特に、現場に出てからは日々の忙しい業務の中で、患者さんそれぞれに合った個別性のある看護計画なんて考える余裕もなかったですし、同じ疾患の患者さんが多く居るなかで、その患者さんに合った看護計画をどうやって立案すればいいのかもよくわかっていませんでした。
今は、電子カルテの中に標準看護計画が組み込まれているので、電子カルテのパソコン上では計画の内容や立案にかかる時間はかかるものではないかもしれません。
ですが、計画立案に時間がかからなかったとしても、その計画が患者さんに合っていない(個別性のある看護計画になっていない)場合では、患者さんにとって全く意味のない計画で、せっかく指導しても患者さんが実施できなければ意味ないですよね。
私も以前、担当した患者さんで看護計画に苦戦したことがありました。苦戦している時には分からなかったのですが、ゆっくりと考えてみると私はアセスメントが苦手だということが分かりました。
アセスメントとは何!?
そもそも、アセスメントとは何か。それは一言でいうと「患者に関する情報の収集と解釈・分析・評価」です。
何やら難しい言い方ですが、「患者さんが元気に退院した後、再発・悪化することがないように疾患に対する知識を持ってもらい、自己管理をできるようになってもらう」ことを目標にして「患者さんの情報収集を行い、今患者さんが困っていることは何なのかということを明確にする」と考えてもらうと難しさは半減すると思います。
私は情報収集は特に苦手意識はなかったのですが、その後の解釈・分析が苦手でした。
私の担当した患者さんは40代の男性。心疾患で救急搬送されて集中管理後に一般病棟に移動してきた方でした。トラックの運転手をしていて、日々の食事はコンビニで菓子パンというのがメインな状態でした。食事に気を使ったことも無ければ、運動習慣もありませんでした。
そこで私は、指導内容を食事と運動に絞ってポイントを押さえて指導を開始しました。数日経ったある日、患者さんから「食事の大切さは分かったけれど、仕事をしながらどうやって工夫していけばいいのか、もっと具体的に教えてほしい」と言われました。
私は気づきました。
「退院後に自己管理ができなくては意味がないのに。このままではまた病気になってしまう」
と。
私が看護計画を立案するときに、患者さんの個別性についてあまり考えていなかったためにこのようなことになってしまったのです。
つまり、患者さんが「患者さんが本当に困っていることは何か」ということや、「退院後の生活で不安に思っていることは何か」を分析できていなかったために、心疾患の患者さん向けの一般的な退院指導をしてしまっていたのです。
簡単に言えば「患者さんと同じ立場で考えること!」
そこで私は、自分がこの患者さんと同じ立場だったらどう思うか・どうしたいのかと考えてみました。私だったら「若くして心疾患になってしまったのは仕方がないからこれからの生活を気を付けてまた病気にならないようにしよう」と思うだろうな、と考えました。
改めて指導をするために、何に対して困っているのかということや、何が不安かを再度患者さんから情報収集しました。患者さんは、仕事は時間に追われていてゆっくりを食事をする時間がないからどのように気を付けていいのか分からないと話されました。
今まで全く食事管理ができていなかったので、まずは野菜を摂るように心がけてもらうことにしました。手作り弁当を持参することは困難なので、今まで通りコンビニで買うこととし、サラダを買うことを提案しました。
今までは菓子パン複数買ってお腹を満たしていたとのことでしたが、パンを1つ減らしてサラダを追加するという方法でした。それなら出来そうだと患者さんからも発言があり、サラダにかけるドレッシングはどうしたらいいのか等、患者さんからも質問があり、内容の濃い指導を進めることで患者さんも満足されているようでした。
毎日繰り返し指導を行ったことで、退院後の生活・自己管理について自信をもって退院されました。
その後、数か月経った頃、検査のために入院された時、自宅での自己管理はどのような状況だったか患者さんと一緒に確認しました。
患者さん自身も自己管理出来ていたと実感されている様子でしたし、私から見てもしっかりと自己管理できていると感じられました。また、自分で調べたりして退院時よりも疾患に対する知識が増えている様子もみられました。さらに食事面に注意するだけではなく、日常生活に運動も取り入れることもできていました。
もちろん、その自己管理のおかげで、検査結果も全く問題ありませんでした。そして、自己管理が上手く出来ていたのを一番感じることができたのが、体重管理が出来ていたことでした。もともとわりとぽっちゃり体型だった方でしたが、入院中に主治医から提示された体重を維持することが出来ていたのです。
検査も無事に終わり、検査入院から退院するとき、患者さんから「看護師さんのおかげで毎日健康に過ごせています。ありがとうございました」と言っていただけて初めて、患者さんの生活に合った個別性のある看護計画が実践できたと感じることができたのです。困った時に情報からアセスメントし直してよかったと思いました。
まとめ
いかかでしたでしょうか。アセスメントは難しいようですが、
「患者さんが困っていることは何か」
「不安に思っていることは何か」
等を考えてみることで意外とすんなり取り組めると思います。しかも、それを考えることで、患者さんの個別性に沿った内容での看護計画しいては患者指導へとつながっていくことができるのです。
すぐに簡単にできるようにはなりませんがすこ、少しずつ慣れていって看護計画が楽しいと思えるといいですね。
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