正常の中に隠れている小さな異常、患者さんの訴えに対して冷静にアセスメントできなかった急変の事例を通して感じた、常日頃からアセスメントする癖を身につけること。
それがアセスメントスキルを磨く上で重要なポイントであり、看護師のアセスメントが患者さんの命を左右する決断になることもあります。
看護師がアセスメントを行うコツ!
看護師にとってアセスメントスキルを磨くということはとても重要なことだと思います。
私は看護師として集中治療室に4年、循環器センターで6年働く中で様々な状況の患者さんを看護し、その中でアセスメントをしてきました。
その経験をもとにアセスメントスキルを磨くコツを、事例も交えて書きたいと思います。
患者さんと接する際に常に考える
アセスメントスキルを磨く上で、何よりも重要なことは日々、患者さんと接する中で、常にアセスメントをする癖を身につけることだと思います。
バイタルを測定した時、患者さんの訴えを聞いた際、聴診・触診をした時など、患者さんから様々な情報を受け取ります。
その時に、ただ何となく記録するのではなく、自分自身の中で考えることが重要です。
そんな当たり前のことと思う方もたくさんいらっしゃると思います。
そしていつも私は考えているという方もいらっしゃると思います。私自身も常日頃から、患者さんの検温の際には、様々なことを頭で考えています。
特に救急医療の現場など、命の危機にさらされている患者さんは、異常な状態が多く、常に考えなくてはならないことで溢れているといえます。
しかし一般病棟となれば、状態も落ち着き、元気な患者さんも大勢いらっしゃいます。その方々のバイタルを測定していると、正常値であることも多く、それに慣れてしまうと何となく、アセスメントをすることを忘れてしまいがちになります。
「今日も正常な値だから大丈夫。」と思って、患者さんの訴えを聞き流してしまったり、大切な触診や聴診を簡単に済ませてしまったりすると、そこには大きな落とし穴が待ち構えていることがあります。
私は何度となくその落とし穴、すなわち患者さんが急変するという穴に、患者さんを落としてしまいました。いくら患者さんは元気な様子でも、バイタルサインは正常でも大丈夫ということは決してありません。
いくつもの落とし穴の中から、印象的だった事例を1つ紹介いたします。
患者さんの急変の際にどう対応するか!?腹部大動脈瘤のアセスメント
循環器センターに勤めていた時のことです。Aさんは腹部大動脈瘤の切迫破裂にて、緊急入院をしてきました。私自身は受け持ち看護師ではありませんでしたが、Aさんの入院の際にお手伝いに入りました。
Aさん自身の自覚症状は全くなかったのですが、血圧が高いため、医師の指示のもと降圧薬の持続点滴を始めました。それによって血圧はコントロール範囲内におさまり、経過をみることができる状態になりました。
そのため私は一旦、Aさんの入院のお手伝いからは離れて、他の業務を始めました。すると数時間後に、Aさんを受け持ちする看護師から血圧のコントロールが良くないと相談を受けました。
確かに医師の指示よりわずかではありますが、血圧が高く降圧薬を増やし対応しました。その際Aさんに変わった様子はなく、再度経過をみることにしました。
また数時間後に今度はAさんが「気持ち悪い。」と訴え始めました。受け持ち看護師が血圧測定をしましたが、血圧は医師の指示した範囲内であり、Aさん自身も「吐くほどのものではない。」とおっしゃっていました。
そのためまた経過を追うことにしました。しかし今、考えるとこの「気持ち悪い。」という訴えがとても重要だったのでした。
30分後、軽い吐き気程度でおさまっていたAさんが、嘔吐をしたと報告を受けました。胃液を少量、嘔吐してしまったようです。幸い血圧の上昇などもなく、もちろん腹痛などの訴えもありませんでした。
しかしさすがに私はこのまま様子をみてはいけないと感じ、受け持ち看護師に医師に報告するよう伝えました。
医師からは制吐剤を使用し、経過をみるよう指示がでました。しかし私はこの時、医師に診察に来てもらった方がいいのではないかと感じました。
しかし受け持ち看護師でもなく、嘔吐以外に大きな異常な所見もないため、あえて何も言いませんでした。そして1時間後、Aさんは急変しました。「気持ち悪い。」と訴えたと思った途端に大量の吐血をし、意識を失いました。
すぐに血圧も低下し、PEAとなり心臓マッサージを開始し医師を呼びました。
緊急CTの結果、血圧はコントロール内でしたが、腹部大動脈瘤は破裂してしまい、それに伴って大量の吐血をしてしまったようです。
医師の話しでは、Aさんの「気持ち悪い。」という訴えは、腹部大動脈瘤に胃が圧迫されて起こったものではないかと話していました。Aさんは緊急手術となり一命を取り留めましたが、亡くなってもおかしくない状態だったと思います。
腹部大動脈瘤の切迫破裂と聞くと、腹痛などの症状があったり、血圧が高いと瘤が破裂しやすいなどありますが、Aさんはどれにも当てはまりませんでした。
この事例において重要なことは、Aさんの「気持ち悪い。」という訴えに対して、看護師がしっかりとアセスメントをしなかったことが急変の1つの原因だと思いました。
そこには血圧がコントロール内であったことや、腹痛などの代表的な症状がなかったことで、何となく経過をみてしまった私がいました。Aさんからの訴えがあった時点で、もう少し深くアセスメントをし、医師に的確に報告すれば、急変する前に医師に診察してもらえたかもしれません。
このように常日頃から、患者さんと接する時はアセスメントしようと思っていても、見落としてしまうことはあります。
だからこそ、当たり前だとは思いますが、患者さんと接する時は、常にアセスメントをする癖を身につけることが重要になってくると思います。
まとめ
病棟には常に医師が常駐しているわけではありません。
患者さんの1番近くにいるのは看護師です。その看護師が患者さんの訴えに対して、どのようにアセスメントするかによって、時に患者さんの命に左右することもあります。
そのため常日頃から、アセスメントする癖をつけることがとても重要なのです。そして癖をつけていくことで、小さな患者さんの訴えや症状などに疑問を持つことで、知識を深めることができ、結果的にアセスメントスキルが磨かれていくと私は思っています。
日々、多くの業務に追われながら患者さんと接していると思いますが、患者さんと接している時だけは、他のことは忘れて患者さんに向きあい、冷静にアセスメントし、私のように患者さんを落とし穴に落ちないよう気をつけましょう。
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