看護する上で必ず必要になる技術の一つに、吸引があると思いますが、みなさんは得意ですか?痰がたまり苦しそうに息をする患者さんに、素早くなるだけ楽に吸引をしたいと思いますよね。私はなかなか入らなかったり、時間がかかったりした時があります。そんな私でもできるようになるコツをお知らせします。
看護技術「吸引」のコツ
看護技術において、吸引はコツを掴むまでに少し時間がかかるものです。しかも苦しんでいる姿を見ると緊張してしまいますよね。
そんな時にどのように身に付けていけばいいのか、紹介します。
基本の3つから。
- 解剖図を思い浮かべる
- 様々な患者様にトライして、経験を積む
- 感覚を掴む
じゃあ、具体的にどうしたらいいの?と思うでしょう。
解剖生理学
解剖生理学を学生時代嫌という程、頭に叩き込んだと思います。
口腔から気道がどうなっているのか、どのように曲がるかなど復習しましょう。
吸引チューブ挿入前に思い浮かべるだけでも、入り方が違ってきます。
患者さまによってさまざま。
体の作りが個々それぞれなので、恐れずに積極的にトライしていきましょう。
中には、入りにくい人、入りやすい人で分かれます。
感覚
今、吸引チューブがどの辺りまで届いているのか、しっかりと気管に届いているのかが分かるようになります。
では、実際に吸引のコツなどのついて話を進めたいと思います。
気道確保
まず、基本ですが、吸引する際は、患者さまの気道の確保を十分に行う事が大切です。特に鼻腔から吸引する場合は、気道をしっかり広げないまま吸引チューブを入れようとしてもスムーズに進みません。
どこかにぶつかり、苦痛を伴うだけでなく、粘膜を傷つけることで鼻出血の原因にもなります。気道を広げるためには、まず枕を外したり少しずらし、顎を挙上させます。
そうする事で気道を広げる事が出来ます。首に疾患がないか情報収集した上で、取り組んでいきましょう。
湿潤
次に吸引前に口腔内を綿棒などで湿らせておくと、痰が柔らかくなり引きやすくなります。
自力で喀痰が難しい患者さまは、呼吸しやすい様に口が自然と開き、乾燥傾向にあります。そうすると、痰が固くなり、せっかく吸引チューブが入っても引きにくく、患者さまに苦痛を与えてしまいます。
そうならない為にも、事前に口腔内を濡らし、少し時間を置いてからだと引きやすくなります。
吸引前にすること
患者さまが咳き込むと上手く引ける事ってありますよね。
チューブの刺激で患者さまが咳き込み、痰が咽頭部や口腔内に上がってきていると考えられます。
気管にチューブが入っても、それより下に痰がある場合は吸引が難しいです。
また、食道に間違って入ってしまった場合も、勿論痰の吸引は出来ません。
この対策として、ネブライザーによる加湿や体位ドレナージ、タッピングなどが上げられます。
(昨今、ネブライザーは細菌の繁殖が不安との声が上がっており、使わない病院が増えてきていますので、勤め先のやり方に従って頂ければいいかと思います。)
上記にて吸引で引ける範囲や、届く範囲まで痰を移動させる事が大切です。
痰がからんでいる音がするからと、吸引チューブを入れても空振になる事があるのは、届く範囲にないからです。そうなると、患者様の苦痛が増すだけなので、出来るだけ有効に一度で引けるよう、事前に準備をしましょう。
- まずは、聴診器をあて胸の音を聞きます。
- 吸引によって引ける痰かどうか、聴診や喘鳴音で判断します。
- 痰の音の場所が分かれば、体位を変えます。
- 体位ドレナージは痰が溜まっている方を上にし、気管に重力で集まるようにします。
- タッピングです。
手のひらをお椀のようにし、背中を痰が貯留している方向から少しづつ中央へ集めていきます。バイブレーターのように小刻みに動かしてもいいし、トントンと叩いてもいいし、患者さまに負担が少ないように行います。
高齢の方は骨が弱いので、力加減が重要です。 - もう一度聴取し、気道にあるようなら実際に吸引します。
すっきり引きたいからと吸引をかけ続けると、患者さまの苦痛を与える他、酸素が行き渡らなくなり、低酸素になるので注意が必要です。
一度吸引を行ったら連続でせず、時間を空けましょう。
- 吸引前に、口腔内を湿らせる。
- 吸引によって引ける痰か聴取や喘鳴音で判断する。
- 吸引チューブが届く範囲まで、移動させる。
- 気道に入りやすい様、気道確保。食道に入りやすい場合は肩枕をし、顎を挙上し喉を進展させ、鼻腔から吸引する。
- 呼気より吸気時にチューブをいれると入りやすい。
- カテーテルの抵抗や患者さまの反応により、口腔からかか鼻腔からか判断する。
口腔の場合、食道に入るリスクが高く、嘔吐を誘発することがあります。患者さまの身体的精神的苦痛を考慮したら、鼻腔がおすすめです。しかし、鼻腔が狭い、疾患により口腔からしか無理な方もいるので、情報をしっかり集めた上での判断が必要になってきます。 - 気管へ入るカテーテルとがスムーズに進み、咳を誘発することで痰が上がってきやすい。
- 口腔や鼻腔からの吸引を短時間で繰り返すと、粘膜が傷つき患者さまの苦痛に繋がる。
協力出来る患者さま対象
患者さまとの意思疎通がはかれ、協力的だけど痰が排出出来ず吸引が必要な場合もあります。その場合は、患者さまに端座位になっもらい、水分補給をした後、深呼吸をしてもらいます。そして、前傾姿勢になり「ケッケ」と繰り返し、喉の奥から出すイメージで行います。それでも出なければタッピングを行い、刺激を与えます。
そして吸引をします。
かなり苦しいので、きちんと説明し協力してもらう事が大切です。
動いてしまうと粘膜が傷つくので、素早くスムーズに行なえるように努力が必要になってきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
紹介したのは吸引がスムーズにいくための一例です。
これからみなさんが、焦らず患者さまと真摯に向き合い経験をつむことで、もっとこうしたらいいにではないかと気付くきっかけになってくれたらいいと思います。
最初は誰でも緊張しますし、失敗もします。
それを踏まえて技術を磨いていって欲しいと思います。
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