患者様の中には、自分の話を聞いてほしい、切実な症状や苦痛を延々とお話されることもあります。コミュニケーションを図ることは、看護を展開するうえで基本であり重要なのでなるべく腰を落ち着けて聞きたいところです。しかしまだやるべき仕事が残っている…というときに、上手に会話を終了し部屋を退室するコツをご紹介します。
患者さんはかまって欲しい!
症状がつらい時には、だれだって一番かまってほしい
患者様の中には、寡黙になって自分自身の体に耳を傾けながら、自問自答して心を落ち着ける人もいます。反対に、自分だけでは病気のことを受け止めることができないから、誰かとこの思いを共有したい、聞いてほしいととにかく訴えてくる人もいます。
看護師としてはどちらのタイプも注意が必要だなと思うのですが、正直を言うとちょっとめんどくさいなと思うのは、訴えてくる患者のほうです。
なぜなら看護師の仕事は忙しい、受け持つ患者は一人ではなく複数人いるから、一人の患者だけにかかりきりになることは不可能だからです。また話を聞いていると、後の仕事にどんどん影響するので、段取りがくるってしまう、仕事に焦りが出ることもあります。
そんな患者様にはどのように対応するといいのでしょうか。
まず入院している患者様は、精神的にもサポートが必要な状態であるということを理解しておく必要があります。またどの患者様のつらい時には、自分に一番手を差し伸べてほしいと思っているということを理解しておかなくてはいけません。
個室患者様の場合あらかじめ持ち時間を宣言しておく
個室患者様の部屋に入って、話がはじまると、この話は長くなるぞ…と予測することもできるのではないでしょうか。そんな時には、
今は10分くらいしかお話しする時間がありません。
とあらかじめ自分の持ち時間を相手に伝えておきましょう。そうすれば相手もその間に伝えたいことを簡潔に話す努力をしてくれるはずです。
そして時間になれば退室できると分かるので、自分の心にも余裕ができて、相手の話を受け止めることもできるようになるのです。相手の話を遮って退室することができない、うまくコミュニケーションを進めて退室するタイミングをつかむことができないという人には、持ち時間を宣言することはうまく話を終了させるコツになります。
時間のないときのコミュニケーションは後回し、後で出直してじっくりと
検温のラウンドの時には、受け持ち患者をどのように段取りよく検温していくかということが大きな課題です。その間に話が長くなると、検温だけではなくその後の処置などにも大きく影響します。そのため、できればラウンド中は手早く終了させたいですね。
そのような時には、今は時間が取れないので、後で出直してくると伝え、長くなりそうなコミュニケーションは避けるようにしましょう。
やるべき仕事が終わったら、ゆっくり話を聞きに来ます。何時ごろだったら話を聞くことができますなどと相手に伝えて、後で部屋を訪問するのです。
コミュニケーションのためだけに部屋を訪れてくれるということは、患者様は大切にされている感を感じることができます。またそのためだけに来てくれるので、たとえコミュニケーションをとる時間が短くても、満足感を得ることができるのです。
時間がない時には、正直に患者様に伝えることも大切です。しかし後で必ず話を聞く、フォローをするということがコツの一つです。
うまく話を遮ることができないなら、タイマーに頼ろう
新人の看護師や中途採用者などまだ患者様に慣れていない人や、もともと話をうまく遮るのができないという人もいますね。そのようなときに、相手の気分を害せずにうまく話を終了させるコツが、タイマーをセットすることなんです。
例えば、その部屋に入る前にタイマーを10分にセットしておきます。時間になるとアラームが鳴るようにしておくのですね。こうして置けば、時間が来るまではゆっくり話をすることができます。またタイマーがなるので、心にも余裕ができます。
もしもタイマーが鳴ったら、検査にいかなくてはいけないのでちょっと失礼します。など理由をつけて退室すればいいのです。
タイマーがなるということは、大切な仕事を忘れないようにセットしているんだと患者様もわかるでしょう。そのためそこで会話をうまく終了させることができるのですね。会話をうまくまとめることができない、いつも話が長くなってストレスを感じているというときなどは、この方法がおすすめです。
ほかのスタッフにお願いしておこう
誰か看護師に電話などがかかってきて、探してもどこにもいない、結局どこかの部屋につかまっていたという話はよくあることです。そのような時には、病棟の一斉放送をかけることはないでしょうか。特に緊急の電話連絡などの場合は。
そのような一斉放送を利用して部屋を退室する方法もあります。ただし、これにはほかのスタッフの理解が必要です。
コミュニケーションが長い患者様というのは、時に病棟でも問題になることがあります。それはどの看護師もつかまってしまって、仕事に支障が出ることがあるからです。
もしも新人や中途採用者など慣れていない人がその部屋に入るとき、また今日は長くなりそうだなとあらかじめわかるときには、その部屋に入る前に師長や主任、またほかのスタッフに伝えておきましょう。
そしてもしも部屋からなかなか出てこないようだったら、呼んでくれるようにお願いしておくのです。
看護師も一つの仕事だけではなく、複数の仕事を抱えています。また途中で予定外の仕事が入ることだってあります。ナースコールに対応する人がいなくて困るということもあります。
そんな時に一斉放送などを使用して呼び出してもらうようにしておくのです。自分の所在を明らかにしておくことも重要なので、ほかのスタッフに伝えて時には助けてもらうのも上手に話を切り上げるコツの一つです。
まとめ
いかがでしたか?話が長くなる患者様の部屋に行くのが時には苦痛だと感じることもあるのではないでしょうか。
しかしながら、話を上手に切り上げるコツを知っておくと、訪室することが少しは楽になるかも?コミュニケーションを図ることは重要だけれど、今はちょっと時間がない…都合が悪いというときには、ぜひこの方法を参考にしてみてください。
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