看護師になって、精神科病院という特殊な環境で働くことに対するメリット・デメリットを詳しくお伝えします。
精神科病院のメリット!
看護師になって精神科病院に就職を考えている方々へのアドバイスになればと思い、私が感じた内容で書かせて頂きます。
精神科病院というと、怖い・大変そう・対応が難しい。というイメージを持っている方が多くいると思います。
仕事の内容としては、
- バイタル測定
- 服薬管理
- 体重測定
- リハビリ活動
- 作業療法などのOT活動
- レクリエーション
- 精神状態が混乱したときの四肢拘束
- 不穏状態への筋肉注射
などがメインの対応になってきます。
基本的には上記の内容以外で手術であったり、処置・点滴などはほとんどありません。記録に関しても一般科と違い、看護計画の内容に対する評価自体が、評価できるものではなく、主観的な表現での記録が多い印象があります。
一般外科の場合、胃摘出術の手術を行った後の管理は、腹腔ドレーン管理であったり、腹壁の状態であったり、食事を摂取段階を少量から形態を変えて行うというような流れでクリニカルパスが使われることがあります。
つまり、手術から治療、退院までクリニカルパスに沿って経過が流れていく感じになります。
精神科でもクリニカルパスを使用していますが、精神の部分になり、クリニカルパス通りに治療が進んでいくことはほとんどありません。
記録内容においても、外科の場合ですと、腹部症状・排液の色や正常・バイタル・食事摂取状況・嘔吐・嘔気など数々の観察項目があるのに対し、精神科では患者が言った内容が記録として残されます。
つまり思考過程が混乱している人は、会話にならない発語をくりかえしており、その内容を記録として、残し、アセスメントで思考過程の混乱が見られている印象、様子などの書き方をします。このように治療から退院までがクリニカルパス通りに行かないという特徴があり、導入していること事態に疑問が残ります。
看護師になって就職先として最初に精神科を希望することは、お勧め出来ません。
精神科とは他科と違い、観察項目や着眼点が全く違います。
つまり身体的な部分をアセスメントすることが難しいのです。例:「落ち着かないから痛み止めをください」などの訴えをしてくる患者さんがいます。内容的に、落ち着かない→痛み止めにはつながりません。
そこで、どこが落ち着かないのか?どこが痛いのか?なぜ薬を欲しがるのか?などを考えて、精神症状と身体症状を同時に観察していく必要があるのです。一般科の経験がなく、精神患者の対応が長期化すると、上記の内容に対して、なんの疑問も抱くことなく薬を提供する看護師も多くいます。
なぜこのようなことが起きるのかというと、一言で「慣れ」です。
痛み止めを服用すれば、落ち着くなら服用してもらおうという考えが先行し、身体的な症状を観察する意識が欠落するのです。尚且つ、一般科の知識がないと、痛い部位に対してどのように観察すればよいのか、何をアセスメントすればよいのかが、分かりません。
精神薬は便秘傾向になりやすく、腸管の動きを悪くする副作用があります。
なので、普通の患者と比較すると排便コントロールがうまくいかない患者が多くいます。その状況で、腸蠕動音を聞いたことがない。腹壁の状態、圧痛・反跳痛、腹部膨満感などを観察できない。機能性イレウスなのか機械性イレウス(閉塞性・絞扼性)なのかのアセスメントが出来ないまま浣腸を行おうとしたりする看護師も中にはいます。
状態によっては、腸管内への圧力が高まり、結腸が破裂するという重大アクシデントにつながりかねません。
このように精神科だけの経験では一般的な医療の知識が乏しく、ベテランの先輩たちも精神科しか経験していないと、観察を行うことが出来ず、処置に入る・内服を投与するというやり方を教えて、間違った対応が、後輩や新人越しに伝わっていくという悪循環を生みます。
その為最初の就職としての精神科はおすすめしません。
せめて一般科で最低3年は経験をして転職をするべき科かと思います。
本当に精神科をやりたい、精神について極めたいという方も、少しの期間一般科を経験した方がいいですよ。精神科では身体的なアセスメントや技術・手技を習得することは難しいです。看護師になったはいいが、一般的な医療知識がほとんどないでは、次に自分が転職するときに、とても苦労をしますよ。
精神科における苦労:思考過程が混乱しており、まとまりのない発言を繰り返す患者の話を聞いたり、同じことを、何十回何百回と繰り返し聞いてくる患者の対応をしたり、時には、陰性感情を抱かれ、標的となることもあります。人の話をある程度、受け流せる人じゃないと、自分の精神が病む可能性が高いです。実際に病院内の職員で精神疾患を発症したスタッフも少なからずといます。
自分が患者に対して良かれと思ってやったことも、受け入れられずに恨みを買うことにつながることも多々あります。一般的には考えられないことですが臨床現場では起こっています。そのような点ではとても苦労する科になります。
また、いきなり興奮したり、精神状態が不安定になる患者もいて、暴れはじめたら、患者の安全を守るために、行動を抑制しなけらばなりません。つまり錯乱している人の行動を制止させるために、患者を抑えなければならないということです。
この点については、非常に危険を伴います。
実際に暴れている人に立ち向かっていかなければならないからです。女性は関係ないと思われがちですが、スタッフが女性しかいない場合は、行かなければなりません。顔や体を殴られることもあります。
自分の身は自分で守らなければなりません。かと言って、取り押さえる道具があるわけでもないです。道具があったとしてもきちんと、取り扱えないと、奪われ凶器を与えることになります。患者を安全に抑えるトレーニングを行っている病院もありますが、正直、錯乱状態の患者に対しては全く意味を成しません。そのような場面が一年に数回あります。その時は本当に身に危険を感じます。
精神科でのメリット
残業がほとんどありません
なぜ、ないかと言うと、処置や記録がほとんどないからです。日々の状態が変動することが少なく、ほとんどいつもと同じ状態です。時々上記のように精神状態が不穏になることもありますが、記録として残すのは大した作業ではありません。その為、決まった時間には帰ることが出来ます。
一般科と比較すると仕事が楽です
一日何もなければ本当に何もありません。バイタルを測定して、記録を残せば、あとは患者と話しをしたり、患者と一緒にテレビを見たり、自分の委員会や研究などの仕事をして一日が終わります。立っている時間よりも、座っている時間の方が長い場面が多々あります。
有休消化が出来ます
スタッフは最少人数で仕事を回すことが可能な科であり、人が多く配置してあると、有休がとりやすい現状があります。また、普段から忙しいわけではないので、希望した日に有休をとることも可能です。
自分のプライベートな時間を大切にすることが出来ます
趣味や別の勉強をしたい人にとっては、お勧めです。自分の時間を有意義に使うことが出来ます。
危機感をもつことがほとんどないです
命に直結する病気ではないので、身体管理がありません。その為、身体的疾患に対する勉強や機械の取り扱いなどをおぼえることもほとんどありません。
対人関係にストレスがないです
記録や評価に関しても、一般科と違い、入院→治療→退院とつながることが少ない為、記録と看護計画が一致しないことが多く、関連づけた記事を書く必要がありません。またそのことを指摘するスタッフもほとんどいません。中にはガミガミと言ってくる職員もわずかにはいますが、一般科と比較すると、対象にならないくらい気になりません。
精神科でのデメリット
- 知識がなくなる
- 手技が出来なくなる
- アセスメントが出来なくなる
- 一般的な病気が見えなくなる
- 残業に対して苦痛を感じるようになる
- 一般科に戻るのが難しくなる
等があげられます。転職の際は募集要項をきちんと確認して、自分の内容にあった就職先を見つけるようにしましょう。募集内容のメリット・デメリットを読み解くことは大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?精神科という特殊な環境に対する、体験をふまえた記事を書かせていただきました。皆さんの転職に対して少しでも参考になれば幸いです。
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