これは一般病棟などで勤務した経験のある元看護師が、自分の就職・転職の失敗談をもとに「看護師に向いている人ってどんな人」ということをまとめた内容です。
看護師を目指そうと思ったきっかけは「母は看護師だから」
私は、大学受験までは別の医療職を目指そうと受験勉強をしていました。しかし、受験で失敗し、「母が看護師だから自分も同じ道に」という今思えば大変安易な
考えから看護系の大学に進学しました。実はその当時から、母からは「あんたは看護師には向いてない」と言われていました。
大学は難なく卒業し、地元の県立病院へ就職
就職は、これまた安易な動機ですが、地元の大きな県立病院で100人近い求人募集が出されていたことが決め手となり、応募を決めました。
その病院の正職員は公務員のため、就職試験は一次試験では教養試験(公務員特有の高校までの知識を広く、浅く問う試験)・専門試験(看護師の国家試験レベル)、二次試験では作文試験(たしか1200~1600字程度を60分で)、面接試験(個別・集団)、適性検査(私のときは内田クレペリン検査)を行います。
個人的には筆記試験に苦手意識はなく、難なく就職できました。
(情報開示で知りましたが、一次試験・二次試験ともに1位通過だったとのことです。
しかし、後述しますが結局わずか数年で看護師を離職することになってしまったことを考えると、筆記試験ができることと臨床で求められる能力はまるで違うのでは
ないかと思います。)
わずか2年数か月で心身の不調を来し、退職。その後転職を数回繰り返すことに。
私にとっての試練は就職後半年くらい経過したころから始まりました。先輩看護師方から、「一生懸命やってるのは分かるけど、もっと周りを見て」という指摘を受けました。
学生時代の実習では1人の患者さんを受け持って、ケアをしていればよかったはずです。しかも、全身状態の悪い人はあまり受け持つことさえありませんでした。
私の配属された病棟は、消化器内科病棟で終末期がん患者さんが7割を占める病棟でした。がん以外の消化管出血やイレウスの患者さんもいますが、化学療法や放射線療法、緩和ケアなど根治の見込めない患者さんの方が多かったです。その病棟で、様々な患者さんを日勤は5人程度、夜勤になれば15人~20人を見ることになるため、毎日毎日がいっぱいいっぱいの状態でした。
そんな私に、先輩は「自分の見ている患者だけに集中するだけでなく、他のチーム内の看護師の動きも見て、適宜協力して業務を進めてほしい」という指摘だったのだと思います。
その指摘以降は、適宜周りの看護師とも協力するよう心掛けました(具体的には緊急入院の手伝い、検査介助の準備・後片付けなど)。しかし、すでに述べたとおり、自分の業務だけでいっぱいいっぱいだったため、1年目の秋ぐらいから徐々に身体的にも、精神的にもきつくなっていきました。
1年目が終了する頃には辞めたいと感じるようになり、2年目に入ってからは検査をしても原因がわからない腹痛にみまわれることも増えていきました。
今思えば、周りの仕事ができる先輩看護師方は、自分の受け持ち患者の業務を「上手く手を抜く」ことが上手だったのかなと思います。私にはその能力が欠如していました。
変に完璧主義というか、どんな状況でも強迫的に「夜間は1時間に1度は巡回しなければならない」、「すべての受け持ち患者のバイタルサインを測定しなければならない」と思っていました。しかし、あくまでこれは原則です。急変する患者、緊急入院する患者、死後処置・予定外の検査介助など看護の仕事をしていれば、急な業務変更は日常茶飯事です。(先輩方は例えば急変があれば、状態の安定している人の巡回やバイタル測定は少し後回しにしていたのかと思います)
原則にとらわれすぎず、「今のチーム全体の業務量をみたときに優先すべきことは何か」を常に考え、周囲と協力できることが最も重要だと思います。
私には当時この能力がなく、また気づくことすらできなかったため、わずか2年で退職しました。
さらに良くなかったのは、自分の心身のケアをしないまま、次の仕事を見つけなければと求人を見つけては、募集し、転職を繰り返すという負のループに陥ったことです。
心身が健康でなければ看護師は絶対に務まりません。視野の広い考えができなくなると感じました。
これから看護師を目指そうとする人へ
したがって、看護師に求められる能力(看護師に向いている人)は、「協調性があって、割り切り上手な人(臨機応変さ)」だと感じています。
もし自分が生真面目すぎる・完璧主義・融通が利かないと現時点で気づいている人は、少しずつこうした能力を伸ばしていく必要があります。
まずは自分の性格に気づけないことには、修正はできないと思います。
今、何を優先すべきか(つまり、どの業務ならあと回しにしても問題なさそうか)を常に念頭に置いて、業務を進めていけるようにしましょう。
また、余談ですが、心身が健康であることも重要です。
自分自身に余裕がなければ、協調性を持つこと、人のケアをする余裕は生まれません。
一度私のように心身のバランスを崩してしまった人は、決して焦らず、ゆっくり養生してから次のステップに進んでほしいです。
養生している間に「自分の何が問題だったのか、どんな仕事(職場)なら適応できるのか」といったことも見えてくると思います。
まとめ
看護師に向いている人は「協調性があって、割り切り上手(臨機応変さがある)人」だと思います。
生真面目な人・一生懸命になりすぎて周りが見えなくなる人ほど、冷静に「優先順位からいって、あと回しでもよい業務はどれか」を
考えてみましょう。
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