これから就職活動や転職活動を行う看護師さんへ、看護実習と実際に働くとでは、かなりのギャップが生じます。新卒の方は、そのギャップに悩まされることが多いと思います。おそらく、看護師になった誰もが経験することだと思います。働く前からイメージをもつことは非常に難しいのですが、少しでも実際の勤務とのギャップを生じないための、心構えをお伝えできればと思っています。
なぜギャップが生じるの?
まずどうしてギャップが生じてしまうのか、そもそも実習では、一人の患者とじっかりと向き合い、看護を学んでいきます。しかし業務では、複数の患者を担当しなければなりません。一日のスケジュールも、点滴、検査、手術、清潔ケアなど決まっており、複数の患者を平行して、スケジュールを組んでいかなければなりません。さらに、カンファレンスがあったり、チームナーシング体制であれば、他の看護師のフォローもしなくてはならない時もあります。
おそらく、その職業においても、同時進行でこなしていかなければならない仕事が多いと思います。しかし、その中でも、看護業務は、同時進行でこなすことにおいて、スキルを要すと思います。看護師の中では、多重課題をこなすといいます。
その理由として、患者は待ってくれないということです。多重課題をどう瞬時に判断してこなしていくか、このスキルを訓練していきます。
特に重症な患者、認知症やせん妄にある患者は、生命の維持や危険と隣りあっています。たとえば、一つの部屋を担当しています。4人部屋の満床、
①一人は呼吸不全で酸素マスク吸入中、
②もう一人は認知症で転倒歴のある方、
③もう一人は、膵炎で点滴加療中。3人夜勤で、一人は休憩中、
↓
①の患者の酸素モニターのアラームが鳴り、酸素が下がっている、
②は一人で立ち上がろうとしてトイレに行こうとしている、
③は点滴が終了してしまって、交換が必要、
これらのことが同時に起こった時に、どう対応していくか、瞬時に優先順位をたてて、業務をおこなしていかなければならないのです。
優先順位の方法として、まず生命の維持を優先にします。そうすると、酸素が低下している①の患者になります。
しかし、①の患者を対応したくても、その隣りで、今にも転びそうな②の患者が一人でトイレに行こうとしています。③の患者の点滴も交換しなくてはなりません。
これが、多重課題となります。このケースに場合どのような対応をすべきでしょうか。
これが、実習と実際の業務との違いになります。
正解は多種多様にあるかもしれませんが、そのうちの一例をご紹介いたします。
まず、③の患者の点滴を一旦クレンメというストッパーをとめます。長時間でなければ、点滴針が閉塞することはあまりありません。点滴が空になっており、空気が入らないように一旦とめておきます。その際にも、①の患者から目を離さないようにします。①の患者のところにいき、なぜ酸素がさがっているのかの原因を探します。
その間に②の患者がトイレに立ち上がりそうなので、ここで、応援要請をします。一人は休憩中ですが、もう一人の看護師を呼びます。呼び方は、ナースコール、医療用携帯などありますが、なぜ応援要請が必要なのか、説明し、②の患者のトイレに付き添ってもらうよう依頼します。それができれば、①の患者の対応に集中できます。
酸素が下がった原因が、マスクやモニターが外れていたら直す、実際に呼吸状態が低下していたら、医師に報告し、酸素量を増やすなど指示を仰ぎます。
なんでも、一人でこなすことが良いとこではありません。チームで働いているので、協力して応援要請をすることも大切です。
多重課題をこなしている看護師
私は、看護師という仕事は、どの職業より難しい多重課題をこなしていると思っています。それは、誇りでもあります。それは、常に生命の維持というキーワードがあるからです。これからの看護師として就職しようとしている方にとって、難しく感じるかもしれませんが、今からでも訓練することはできます。まず、日々の生活の中で、意識的に何が今優先なのか考えて、動くことです。おそらく、いつも無意識に優先順位をつけて物事をおこなしているのではないでしょうか?
その訓練をしておくだけでも、実際に働くとそれが生かせるのではないかと思います。たとれば、飲食のアルバイトでも、空いたテーブルを片付けていると、他のお客様に呼ばれる、このままテーブルを片付けるか、お客様のところに行くか。新規で待っているお客様がいなければ、すぐにテーブルを片付ける必要はないので、お客様の注文を受けに行きます。これも、多重課題において、優先順位をつけるということになります。
私は、このようなケースを考えると、根本は同じことだと思います。看護師の仕事は、日々の経験や体験が生かされる場とも思っています。より様々な経験を積めば、それだけ、深みのある看護ができるのではないかと考えます。
少し内容が変わりますが、看護はサイエンスとアートからなっています。サイエンスは看護技術や知識、アートはコミュニケーションや接客です。サイエンスは勉強や訓練で深めることができますが、アートは経験や感受性です。深みのある人間であれば、アートの部分にも反映されると思います。
今回は、具体的な多重課題の実際について説明してみましたが、すぐにできることではありません。何度も、失敗を重ねることで、人として成長していけると思うので、失敗して当たり前でと思ってほしいです。完璧な人間はいませんから。
まとめ
日々の生活において、多重課題を意識するだけでも、訓練になると思います。看護業務における多重課題のポイントとして、まずは生命の維持を優先順位として、応援要請をする、一人でこなそうとしないで、チームで協力するということです。
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