新卒での就職にしろ転職にしろ、重要だなぁと私が感じたこと、それは病院の教育プログラムです。今回は10年以上勤めた病院で感じた、教育プログラムの重要性についてお伝えしていきます。
離職率への危機感からの、教育への意識の変化
私が就職した10数年前は、まだまだライフワークバランスなどという言葉も概念も広まってもおらず、自己犠牲や根性論のような精神が横行していました。ご存じのとおり、看護師の仕事はハードです。ただでさえハードな仕事に加え、入職してからの一年は、とにかく残業、残業のあとは採血や点滴などの自己練習、帰宅後はレポート、休日は先輩の指導を受けるため病院へ……。食欲だけはあった私が、1か月で7キロも痩せてしまいました。私自身が仕事を覚えるのが遅いという問題もあったと思いますが、毎日のように辞めたいと思っていました。
そんな職場ですから、入職して1年以内に退職する同期もいましたし、それ以外でも退職者は多くいました。もちろんそれは、私の勤める病院だけでなく、看護業界は離職率が高いということは周知の事実。これを改革していかなくては、という時期に看護業界は突入しており、私の勤める病院も1~2年後にはその流れに乗っていきました。
私の勤める病院は急性期病院でした。看護師の意識は高く、理不尽ないじめのようなことはありませんでしたが、とにかく自己学習をどれだけするか、それを先輩がチェックし指導するという形で、どちらかというと詰込み型、そしていかに根性を見せるかといった感じでした。ですが、それでは離職者は減ることもなく、その後いかに新卒者の離職を増やさないか、という点へ看護部の視点はシフトし教育プログラムも変化していきました。
教育プログラムはどのように変化した?
まずは、入職前の研修。私が入職したときには、入職前に2~3日研修があっただけだったのですが、その後は入職後、半月ほどかけて病棟などの各部署へ行く前に基本的な看護技術やコミュニケーション技術、各部署の一般的な流れなどの研修を受けていきます。各部署へ配属後は、まずはシャドー研修といって先輩にひたすら付いて回り、仕事内容の雰囲気をつかみ、それから先輩とマンツーマンで仕事をしていきます。また病院全体の流れや雰囲気をつかむために、他部署での研修も最近では導入されました。
その後は各部署個別のレポートを無理のない範囲で予定を組み提出してもらう、3ヶ月毎に集団研修を行い病棟ではフィードバックを行っていきます。もちろんそれは勤務時間内で、勤務時間は極力守って定時で帰宅してもらうようになりました。先輩に確認しながらとはいえ仕事はほぼぶっつけ本番、時間外研修や時間外での自己練習が当然だった私からするとうらやましい限り。もちろん、急にこのような形のプロフラムを作ったのではなく、試行錯誤しながら10年ほどかけて変化していきました。
教育に携わりながら感じたことは、入職者の離職が減っただけでなく、新卒者にゆとりができたということ。もちろん仕事が合う合わないや、私のように成長がゆっくりだったりと個人差はありますし、緊張は強いと思います。しかし指導者側の意識が変化したことにより、忙しいなかでも根気強く指導をくり返すことと、定時での帰宅など心身の休養できる時間を作ること、定期的に話す場を設け新卒者の状況を把握するなどの対応もプログラムに組み込むことで、精神的に追い込まれたような顔をする新卒者は確実に減ったというのが現場での実感でした。
転職やブランクからの復帰に関しては?
転職やブランクからの復帰に関しても同様です。現在では看護師の転職や、子育て後の復帰などはめずらしくありませんし、むしろ積極的に潜在看護師に復帰してもらおうとの動きもあります。ライフワークバランスが重要視されつつある現代においても看護職がハードな仕事であることは変わりありませんから、新卒者を守るだけでは看護師不足は免れません。実際、現在は新卒者への教育だけでなく、産休・育休復帰や中途採用者への研修を売りにしている病院もあるくらいです。
私自身、出産を機に退職し、現在は潜在看護師となっていますが、ゆくゆくは復帰したいと考えています。しかし復帰を考える身となってみて、やはり様々な不安はあります。看護師としての経験はあってもブランクがあったり全く経験のない科や分野への転職であると、仕事をスムーズに行えないのが当然であったとしても、看護の知識がある反面、できない自分へのプレッシャーや自己嫌悪などが大きくなる可能性があります。
実際に、友人の勤めている病院では教育体制が整っているとは言えず、新卒者だけでなく中途採用者であっても、突然来なくなるなどのケースが多かったようです。しかし教育体制が整っていれば、技術面などの不安は一部軽減され、またきちんと指導を受ける立場であると職場に認識されているということでも、安心して新しい環境に飛び込むこともできます。
では、どのような病院を選ぶべきなのでしょうか?
教育プログラムが充実している病院とは
例えば規模の大きな大学病院や総合病院、救急病院などの急性期病院は、新卒者に対する教育プログラムが充実している病院は多いですね。そのような病院は中途採用者に対しても研修を実施している場合が多いですが、きちんと事前に確かめてみることをお勧めします。これから働いていきたいと考えている職場ですから、資料を確認することはもちろん、病院見学会への参加や、面接時にどのような教育体制なのかを具体的に聞いてみることもいいかもしれません。面接時の質問では意欲的であると捉えられるかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか? 新たな環境へ飛び込むということは大きな不安とプレッシャーがありますが、きちんとした教育プログラムを実施している病院であれば、安心し意欲的に仕事へ取り組めるはずです。病院選びの一つの項目として、ぜひチェックしてみてくださいね。
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