私は現在、透析クリニックの常勤看護師として勤務していますが、知人・友人からは「透析って患者さんとの関わりが難しそう」「稼げなさそう」などと言われることがあります。自分自身も透析クリニックへ転職する前は、「透析は特殊な分野で、患者さんとの関わりも難しそうだし、病棟勤務と比べて給料も減ってしまいそう」などという不安な気持ちもありました。
しかし、実際に働いてみて、そのイメージはずいぶん変わりました。
今回は、巷でよく言われている透析クリニックでの看護の仕事のイメージと、実際に働いてみて感じたことを比べてみたいと思います。
病棟勤務より収入が低い?
夜勤がないため、病棟勤務より収入が激減してしまうと思われがちな、透析勤務。
でも、実際はそこまで減りませんでした。
私の勤める透析クリニックは、夜間の透析も行っているため、準夜勤の勤務があり、週1回~2回、準夜勤に入ります。なので、病棟の深夜勤ほどではないですが夜勤手当ても頂いています。もちろん、病棟勤務でバリバリ2交代勤務をしていた頃に比べれば収入は若干(月収で2~3万円程度)減りましたが、転職前に思っていたほどの収入減ではありませんでした。深夜勤務や長い夜勤がないぶん身体的にラクにもなっていますし、ボーナスもしっかりいただいているので、収入面の不満はありません。
患者さんが独特?
透析の患者さんって、気むずかしそうだし、自己管理も悪そうだし、関わりが難しそう、とよく言われます。
もちろん、中には自己管理も悪く、スタッフへの不平不満の多い患者さんもいらっしゃいます。若干そういう方も多いかもしれませんが、以前勤めていた神経内科と比べて、患者さんの雰囲気はそこまで変わらないかな、という印象です。
自己管理も良く、病気を抱えながらも社会で活躍されていたり、いつも笑顔で礼儀正しく接してくださる方も多く、尊敬できる患者さんもたくさんいらっしゃいます。
患者さんは週3回、4時間の透析に一生通い続けなければならなかったり、日常でも食事制限があり、ストレスを抱えていらっしゃいます。ときにはそのストレスをぶつけられることもありますが、そういう感情に向き合うことも看護師の役割だと思いますし、透析患者さんだけが特別難しいとは私はあまり思いません。
患者さんとの付き合いが長くなることが多いので時間をかけて信頼関係を築くこともできます。
独特の分野で、他の診療科にも通じる看護が学べない?
透析クリニックに転職する前、「透析は独特の分野だから、他の診療科で学んだことが生かせなさそうだし、透析以外の看護ができなくなりそう」という印象がありました。
透析クリニックに就職してみて、そのイメージは覆りました。
もちろん、入浴介助や洗髪などの清潔ケアや食事介助をすることはありませんが、病気に関しての知識は他の診療科にも共通するものばかりです。糖尿病や高血圧など、どこの科でも見られる基礎疾患をお持ちの方も多いですし、透析患者さんは心疾患や悪性腫瘍の合併症のリスクも高いので、疾患に関しては幅広い知識が必要になります。
そして、そこまで頻繁ではありませんが急変に遭遇することもあります。
また、透析室に勤めたからこそ磨かれた技術もあります。
シャントや静脈への穿刺は毎日、かなりの回数をこなすので、静脈穿刺の技術は随分磨かれました。実は、以前は静脈ルート確保がとても苦手だったのですが、透析クリニックの先輩方に特訓してもらい、そのおかげで今では自信をもって穿刺できるようになりました。
また、透析患者さんは食事管理などの自己管理がとても重要で、管理不足により即、命にかかわることもあります。なかなか管理が難しい患者さんも多いので、患者さん一人一人に合った効果的なアプローチが必要になります。必要に迫られるため研修にも参加しながら、日々の業務のなかで向き合ってきた結果、少しずつですが、指導力が磨かれているな、と感じます。
毎週日曜日が休みで働きやすい?
透析クリニックは、毎週日曜日が固定の休みなので、不定休の病棟勤務より働きやすく、休みの計画を立てやすい、というイメージがありました。
透析クリニックで働きはじめてからも、比較的そのイメージ通りです。やはり毎週日曜日が固定休なので、看護師以外の友人や恋人との予定が合わせやすいです。
そして、週休2日制なので、日曜日ともう一日、月~土のどこかで交代でお休みを頂けます。土日や日月で連休の希望も月1~2回は出せますし、週の真ん中にお休みがあることもあります。平日休みもあるので、銀行や役所に用事があるときも仕事をわざわざ休む必要もないですし、病院受診もしやすいです。
病棟勤務の時は、なかなか土日で休めなかったり、シフトが出るまでいつが休みなのか全くわからないことが少しストレスになっていたので、透析クリニックの休日の体制はとてもありがたいです。
とはいえ、少し困ることもあります。
それは、病棟に比べて、連休が取りにくいことと、年末年始もお盆も透析クリニックに休みがないことです。
病棟勤務の頃は、3連休以上の連休をいただくことも結構ありました。でも透析に勤めてからは3連休はなかなかとれません。透析クリニックには深夜勤がないのでそのぶん連休が取れないのは仕方ないのでしょうね。2連休はそこそことれるので、まあまあ恵まれた環境ではあると思います。
また、透析クリニックは、年末年始もお盆も、日曜日以外は休みがありません。看護師の勤務も元旦だから、お盆だからとお休みをもらうことはなかなかできません。とはいえ、病棟看護師もそこは同じですので、透析看護師特有の不満というわけではありませんね。
以上が、私が透析クリニックに勤務する前に感じていたイメージと、実際に働いてみて感じたことの違いです。
まとめ
いかがでしたか?
透析クリニックで働く前は、透析看護に対するネガティブな印象もありましたが、実際はボジティブな面がとても多かったことが伝わりましたでしょうか。
透析看護に興味はあるけど、ネガティブなイメージがあって踏み込めないという方の参考になれば幸いです。
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